英語の耳と口を手に入れる13の法則

Tad金子氏プロフィール
東京出身。株式会社アクティブアンドカンパニー イングリッシュ・プログラム開発責任者1993年北アリゾナ大学(専攻マーケティング・マネジメント)卒業。日本の大手電子部品メーカー、IT業界を経て、2009年より英会話セミナーやクラスを本格的に開催。今までブラックボックスだったネイティブ発音の視覚化に成功。経験と勘が頼りだった従来の学習法ではなく、論理的アプローチによりルールに基づいて英会話が早く聞こえる、書いてあるように聞こえない原因を分かりやすくひも解くメソッド、『リエゾンの法則』の開発者。

本にこめた想いを聞かせてください

私がこの本でお伝えしたいメッセージは、英会話において、初級者からTOEIC満点、英検1級の人までが抱える共通のボトルネックがあるということです。そのボトルネックは3つあって、1つは子音、もう1つはリエゾン、そして最後は『間』の取り方になります。中学ではじめの1歩は子音をやるべきだと思うんです。そしてリエゾンの法則に従うと、リスニング、スピーキング、読解力にも繋がってくる。視覚的にもわかりやすい。リエゾンをすると耳から入って来る情報と一致するんです。ルールで英語の音を理解するとと大人になって衰退してしまった言語センスが寂れていても、理屈で英語の音に反応できる『耳』と『口』を持つ事ができるようになります。本書では、はじめに子音、次にリエゾン、『間』の取り方、最後の仕上げにSiriで自分の発音をセルフチェックできる流れで構成しました。英語の耳と口を手に入れるため、私が実際に身につけたプロセスの順番に沿って紹介してあります。留学行く前の人にも是非読んでもらいたいですね。自分も、留学する前にあったら読みたかったくらいです(笑)。今では私はCNNを聞く前に原稿にリエゾンする箇所にマークを入れるんです。そうするとどんな感じで話されるかわかるし、だいたい一致します。

「英語の耳と口を手に入れる13の法則」を見出した経緯を教えてください

アメリカへ行き、そこであるベトナム人に会ったんです。はじめからネイティブではないんですが、かなり話せる。渡米し、苦労した結果、英語を上達させた人でした。その友人がしつこいくらい私の子音を指導し、徹底的に強制してくれたんです。基礎というより、コツを教えてくれましたね。”boy,” “food,” “world”という単語の発音になかなかOKもらえず、OKが出るまでどこへも行かせてもらえませんでした(笑)。特にworldの発音は難しいですよね。私は渡米して何百回、何千回と英語が通じない・恥ずかしい経験をしているんです。でもその体験を通して気づいたのは、「子音」が根源だったこと。英語は3分の2が子音で骨格なんです。対して日本語は母音がメインで話す言語。日本人は英語のセンスがないのではなく、子音が言語の中に組み込まれていないから、習得も難しい。それなのに、そこに着目されていない。ちなみにスペイン語も母音がメインで話す言語なので、カタカナ読みでもバッチリ通じるスペイン語は日本人にとってとても楽に習得できる言語なのです。つまり、何が言いたいかと言うと、『日本人は、英語のセンスはないけど、スペイン語のセンスはある』というのではなく、『言語の音声ベースが構造的に違うと難しく、構造的に近いと容易に習得できる』ということです。

金子さんは、中学・高校の先生達にも教えているそうですね。

はい。でも実をいうと私自身学生の頃は優等生ではなかった。実は私は中学・高校のとき英語が苦手で、アメリカに行った当時はhelloのスペルも正しく書けなかったレベルでした。そんな底辺のレベルからアメリカ生活を通して実戦を通して見につけた英語なので、机上の受験英語で学んで来た人達とは自然と英語に対する考えやアプローチが違うものになったのだと思います。

そんな経験を持つ私と、受験英語のエキスパートである学校の先生とは対極的な考えだったりアプローチということが学校の先生達には新鮮だったのか、とても熱心に私のノウハウを聞いてくれました。いまでは、私のセミナーを受けた先生達が現場で本書(『英語の耳と口を手に入れる13の法則』)を使って生徒達の発音やリエゾンの指導をしていると、先生達から嬉しい報告も頂いています。

本の中で説明されている発音方法、とても楽しく拝見しました

子音てABCD〜とかじゃなく、日本語にひもづけてやるとやりやすいと思うんです。発音は動作の一連なんですよね。一般的には口の緊張を高めるとか、息を歯や唇のスキマから抜くとか、あてるとかありますが、一時的な断面図では表現しにくく、記号は動作をイメージするのに限界がある。だから私が表現に使っているのは、イラストと動作の描写。例えばDは「っんだよ!」の「っだ」じゃないとだめだということを、本の中で伝えています。”dance”は「ダンス」では通じない。思いっきり溜を作ってから「ッダンス!」じゃないとSiriにも通じません。

英語がかっこよく聞こえるのは、基本的に音が濁るから。Waterだったら「ワ”ラ”〜」と濁点がつく。LとかMの発音にもつきますよ。例えばlaterは「レイター」ではなく「レ”イラ”ー」。YOUやYESのYも「ユ”」。喉に意識を持ってきて、振るわせて、Yを響かせます。だからイエスじゃなくて「ィ”エス」です。ちょうど、つっぱりのよろしくがYの正確な発音に似ています。つっぱりはただの「よろしく」じゃ格好つかないから、そうやって格好をつけているんですね(笑)。

発音を日本語の感情表現から学んだり、子音と母音に着目すると、新たな発見がありますね。

例えば”Spiral”という単語。日本語では「ス・パ・イ・ラ・ル」5つの音(音節)からできています。でも英語を音節でわけると”Spi・ ral”と2つにわかれるんです。例えて言うなら、ネイティブは2回(音節)ボタンを押す。対して日本人は5回もボタンを押す。2は5じゃないので、聞くも話すも永遠に2 = 5 にはならないのと同じように、ネイティブの2(Spiral)と日本人の5(スパイラル)は永遠に通じ合えない、と言ったら分かってもらえるでしょうか?

他にも、”Strength”が良い例です。日本人が読むと「ス・ト・レ・ン・グ・ス」。6つのボタンを押している。でも英語の音節はたったの1個だけ。だからネイティブは、1回しかボタン押してないのと同じ意味なんです。1のこと(Strength)を6(ストレングス)といったら、お互いの何のことを言っているか分かり合える訳がない、というのがネイティブと日本人との間で起こっている英会話の実態なのです。日本で外国人が”TOKIO”(トキオ)と言っても、日本人は「東京」と聞いてあげようとするけど、立場が反対になるとは限りません。アメリカに行って「マンハッタン」、「サンタモニカ」という発音では残念ながら通じません。

本に書かれている「Tの近くにNがあると飲まれて消える」というのも、意識すると聞き取りも発音もしやすくなります

そう、nの後にtがあるとtがなくなることを知っていれば、通じるように発音できるんです。例えばこんな風に・・・
Santa Monicaサンナ・モニカ
Interview イン・ナビュー
rent a car レンナ・カー
Internet イン・ナーネット

これらの発音をSiriでやるときちんと認識してくれます。また、本の中にも書いてあるように、違う子音同士が隣り合った場合、例えばpとbが隣り合うと、エネルギーが後ろに変換されます。

Stop by  スタッ(プ)・バイ
pの音がbに乗っかるんです。
Drop boxはドロップ ボックスじゃなくて ドロッ(プ)・バックス っていうかんじになります。

この法則を知ってから、「あぁ、そういうことだったのか」と肩の力が抜けた感じがしました

その脱力感を感じて欲しいんです。リスニングはそんなに片意地はるもんじゃない。コツを掴んで欲しい。例えば
look at that なら ルッ(ク)・カッ(ト)・ザット という感じにでリエゾンして最終的にリエゾン英語をあえてカタカナで書くと『ルッ・カッ・ザッ』というふうになります。ネイティブの英語が聞き取り難い、話すスピードが早すぎる!という人が多いですが、この原因の背景にはリエゾンがあると私は思っています。こういったことは英語で苦労を知らないネイティブの先生には教えられない。でもこのリエゾンの法則を知れば楽になります。これはイギリス人がしゃべってもアメリカ人がしゃべっても同じ。50年前のビートルズだって、このリエゾンの法則にはまります。

学校の英語教育についてどうお考えですか?

私は先生達が悪いとは思っていません。こども達に興味を持たせて持続させるために、先生達も手弁当でかなり工夫していることを達セミ(英語教育達人セミナー)の先生方を通してしりました。現場には現場の苦労があって、短時間で大人数にテストを受けさせ、評価するとなると選択式のテストしかない。テストの形式に問題があると思うんです。学校の先生がもし受験じゃないことをしたら、保護者からそんなことで時間を割くなと言われてしまう。そうでなくても塾にまで行っているのに、なぜそこで受験に外れたことをするのか、と。結局先生達が教えたい実践的なところは、教えられない。受験英語の弊害が一番問題なんじゃないかと思います。

そして、どうにかしたいということから、その一環として、中学高校の先生達に伝えていくということを今しています。教員免許も持っていない元落ちこぼれが、先生に教えているんです。VoAやEnglish Centralなどを教えると、すごいと喜んでくれる。先生達が持っていない情報を私が伝える役目もしています。

英語の教材の利用法についてはどうお考えですか

いまの時代、私達は考えられない環境に育っていると思います。英語教材に関して、基本的に最新・最先端の技術は無料なんです。ただ本屋でお金出して買うよりも、インターネットで無料で手に入るものの方が良い。要はネイティブが普通利用している映画やビデオや動画、スピードもスラングも手加減無しに日常的に話されているものを見て聞けないと。教材でネイティブがしゃべっている、ノイズもない、スピードも日本人向けになっているものだけで、1000時間聞いてもうまくなりません。今は留学とか海外生活しなくても自分で環境は作れます。最強の教材・ネタは無料で手に入っちゃうんです。
英語のニュース、例えばCNNを使うなら、ひとりのアンカーに絞ってまずは学習すること。映画もひとつのものを徹底的にすること。つまみぐいはしないこと。

生の教材をどうやって駆使するか?どうやってどういう順番で学習するか?というのは、人によってレベルも違うし好き嫌いもありますが、私はそこをお手伝いできると思っています。例えて言うなら、英語学習者に風の捕まえ方を教え、上空高くまで引き上げるのが私の役割だと思っています。同じ場所でも、ビルの1階で吹いている風でハングラーダーは飛べませんが、地上50階で吹いている風なら飛ぶことができるようなイメージです。一度空高くまで飛べるようになれば、そこから先はどこに行こうと好きなところに飛んで行けるように、英語の勉強法も個人個人で好きなやり方で学べば良いのです。私ができることは、ハングライダーが飛べる風が吹いているところまで、あなたの英語を引き上げるお手伝いすることだと思っています。

日本人と英語の関係について、お聞かせください

日本ではまだまだ英語の底上げができていないと言われていても、これだけ国力があるということは恥じることじゃないと思います。中国は日本の10倍以上の人口でやっと同レベルの経済力なのです。日本は国力から見ると決して悪くない、卑下する必要なんかない。

これだけ英語が苦手な人だらけなのに経済力がある国、という見方ができれば、英語なんてできなくたって恥ずかしくない。ヨーロッパ人が英語ができるのは、言語が近い事もありますが、それ以上に国力がないから、相手の言語(アメリカ)に合わせて英語を話している。経済的側面からみれば、他のアジアの国々も一緒です。だから英語ができないことで恥じることはさらさらない。日本人もネイティブのように話せる必要はないから、義務教育からやる必要はないと、正直思っています。強制的にされるとやりたくなくなるし、好きな人は強制されなくても勉強します。皆暗中模索で、どんな勉強法がいいのか探しているとおもいます。ただ英語が苦手は場合、それは自分の問題でなく、言語の構造が原因だったということを知って欲しい。そして、それがわかった上で手を入れて行けばいい。一方その原因がわからないまま、英語を上達するために力技で聞き流すというのは、どうにかしたいですね。

日本人が奥ゆかし過ぎるのは、自分にセンスがない、と自分に矢印がむいちゃうこと。教材が悪いってことを、私の本の最後にも書いてありますが、TOEIC、英会話スクール、聞き流すだけの教材に挑戦状を叩き付けています。

英語を学習しているビジネスパーソンへのメッセージをお聞かせ下さい

やっぱり英語の肝は子音だということに気づくと、視界が開けるということを伝えたいです。「子音」ていうと響きが地味なんですが、でも間違いなく聞こえる・通じるようになる鍵を握っているんですよ!今まで、こういった子音・リエゾンという鍵がはっきり見えてなかったのだと思う、だから力技でやるとか、量を聞くしかないと思われてますが、子音をマスターしないで英語をやるのは、ゴルフをやるのにクラブを持ってない、打ちようがないのと同じような状態です。

また、英語を話すときには、感情のボタンにスイッチをいれなきゃいけないということも伝えたいですね。外国人に話すとき、喜怒哀楽を顔の表情やボディーランゲージから伝えられないと、なかなか円滑なコミュニケーションが取れません。日本人としてはそんな無表情なつもりはないかもしれないけど、外国人からしてみればわからないときが結構ある。特に大陸の人達は感情表現がストレートですよね。良い悪いは別として、彼らはガチでやる。アジア圏ではお互い似ている点もありますが、欧米では身体大きい、声大きい、全部大きいからこちらは萎縮しまいます。そして英語を話しているときに「ハァ?」と聞き返されると、更に縮んでしまいます。でもそれは下手だからじゃない、聞こえないから「ハァ?」と聞いてくるんです。

日本は感情をストレートに出すと、大人げない・こどもっぽいなどとられてしまいます。日本の文化が感情を押し付けているとも言えますが、それは風土で、日本人同士うまくやっていくための術とも言えるでしょう。それは仕方ないこと。ただ一歩外の世界に出ると、うまくいかない。日本国内ではいいけど、海外に出るなら、もっと感情のボタンにスイッチをいれ、表現しましょう。