お金と英語の非常識な関係

神田昌典氏プロフィール
経営コンサルタント・作家。日本最大級の読書会『リード・フォー・アクション』主宰。上智大学外国語学部卒。ニューヨーク大学経済学修士、ペンシルバニア大学ウォートンスクール経営学修士。大学3年次に外交官試験合格、4年次より外務省経済部に勤務。戦略コンサルティング会社、米国家電メーカーの日本代表として活躍後、1998年、経営コンサルタントとして独立。

関口:「お金と英語の非常識な関係」を書かれたきっかけを教えてください。

神田氏:自分の人生を振り返った時に英語によってとても人生の幅が広がりました。英語で自分の人生の幅を広げる、活躍できるステージを広げるという本を書きたいと思いました。今や国際化の流れは変えようがないと思います。中国、シンガポールを含めた東南アジアでビジネスをしようと思うと英語抜きでは話になりません。そういった面で英語は長いスパンにおいてビジネスで活躍できる、または自分の人生の様々な選択肢を生んでいくための必要条件のひとつだと思います。

また、私の書籍のあとがきにもありますが、私自身、英語は二世代で完成するものだと思っています。私も父親の英語を学ぶ姿を見て育ちました。英語を使いこなすためには相当な努力が必要です。努力を重ねても使いこなせるレベルに到達するのは難しいのも現実です。そこで、仮にあなた自身が出来なくても、次世代の子供が出来るようになれば良いと思います。自分が英語を勉強している姿を見せることもこれからの時代に向け英語の必要性を次世代に繋げるためにも必要だと感じます。

関口:「役立つ英語」を学ぶポイントを教えてください。

神田氏:自分に必要なことをすると良いと思います。現在、私は中国語の勉強をしています。今度、中国での講演があり、日本語でするか英語でするかを考えた時に訪問先の母国語でスピーチをすることにしました。よりコミュニケーションが取れると考えたからです。まず、スピーチをそのまま覚えることをしています。

ある落語家の方が海外で落語の公演を英語でする機会があり、そのために英語に訳した落語をとにかく覚えたそうです。すると、その方は英語で十分なコミュニケーションが取れる程になったといいます。私の実体験ですと、オバマ大統領のウイニングスピーチを全部暗唱したことはとても勉強になりました。このように自分の好きなトピックを覚えることは英語の上達に繋がると思います。

関口:オバマ大統領のスピーチなど、どのように暗唱をするべきでしょうか?

神田氏:まず、オバマ大統領の演説集を購入します。そして、1行目の「Hello!Chicago」から始めます。このワンフレーズさえ重要で、このフレーズから発声の仕方や英語のリズム、イントネーションを覚えることができます。実際にオバマ大統領の真似をして発音することで、声の筋肉の使い方などを感じることが大切です。日本人はもごもごと話す人が多いので、スピーチを読み上げていくだけでも発音とパブリックスピーキングが上達します。

また、世界レベルのスピーチを暗唱することはグローバルな視点を持つことにも繋がります。英語は文化的背景やものの考え方や思考の順番が難しいので、スピーチを通じて楽しみながらマスターしていくと上達が早いと思います。

関口:発音についてどのようにお考えですか?

神田氏:必要以上に神経質になる必要はないと思いますが、発音が綺麗かどうかということは英語に自信を持てるかどうかの大きな比重になると思います。発音だけを勉強しようと思うと、英語の音に馴染みがない人にとっては大変な作業になります。発音はイントネーション、英語はミュージックだと捉えて、自分で体感できるようになることが大切です。「R」と「L」などの発音を細部までこだわるよりも、抑揚を含めた全体性に目を向ける方が良いと思います。

関口:TOEICについて考えを聞かせてください。

神田氏:英語を実践で使うというイメージを持たず、義務感だけでスコアを上げることに集中するのはお薦めできません。実際に英語を使用する機会がないとモチベーションも続きませんし、本来の目的のコミュニケーションとは人と人の繋がりなので、繋がり合うための言葉でないと学習効率は落ちると思います。

コミュニケーションを通じて、自分とは違った考えや視点を知るためのツールとして必要なものが英語です。英語で何をするかを考えた上で、TOEICが必要であれば勉強すれば良いと思います。ただ、今の時代は英語を勉強したいのであれば、テキストに集中して勉強するよりも英語を使っている人と出会うことをお薦めします。

関口:英語を身に付けるメリットについて教えてください。

英語が出来ると出来ないとでは人生を分けます。現にアジア圏の人たちは皆、英語が出来ます。そうでないと仕事にならないからです。英語が出来ることによって、知り得る情報量は格段に増えます。グローバル社会におけるコミュニケーションのベースはやはり英語なのです。

また、今後のグローバル社会においては単に情報を得るだけなく、そこで得た情報を生かし国際社会に貢献することも社会人の役割であると思います。更に、英語を使える人はグローバルなレベルでの視点を持ち、リーダー層として日本をどうしてゆくか、社会的なビジョンを持つことも大切です。そういった考えを持つ人が英語をより使いこなした時、日本にとって非常に大きな力になると思います。

関口:洋書を薦める理由について教えてください。

神田氏:洋書は難しいもの多いので読む人は少ないと思います。しかし、海外の最先端の情報は洋書によって得られるのです。日本での翻訳は約2年遅れているといわれているので、日本語訳の出版を待っていたら役立つ情報を逃すことにもなりかねません。特にビジネス書は翻訳されにくいので、洋書を読むことができれば大きなアドバンテージを得ることができます。どこにビジネスチャンスがあるのか、今後の方向性を見極めながら考えるきっかけが洋書にはあると感じています。私も昨年より洋書プロジェクトを開始しております。(詳細は http://www.ac-pub.com/)

関口:グロービッシュについてどうお考えですか?

神田氏:日本人は深く掘り込みがちなので、今まで学んできた潜在力を最大に発揮できるグロービッシュは良い考えだと思います。量を増やす戦略かリーダーを作る戦略かの差だと思いますが、これからの社会においてどちらも必要だと思います。グロービッシュのような簡易英語をきっかけにして、より品性のある英語を学ぶきっかけになれば良いですね。個人的には是非、学校教育にもグロービッシュをはじめとするコミュニケーションツールとしての簡易英語を取り入れて頂きたいと感じます。

これからの時代、他国の動きを見ていても英語は当たり前の世の中になっていきます。私は学校教育で英語による実践的なコミュニケーションを教える必要性を感じますし、最低限の単語でコミュニケーションをすることなどを学校教育のレベルからやっていくことを願います。

関口:英語を勉強しているビジネスパーソンに向けてメッセージをお願いします。

神田氏:英語を勉強している人がこの国をリードしていくと思うので、是非その自覚を持って欲しいと思います。英語を学ぶことで、ビジネスだけなく個人的な幸せにも繋がります。一人でも多くの人が英語を学んでグローバルな視点を持つことで、次世代にとっても非常に大きなチャンスが広がりことになると思います。

リーダーの役割とは次世代の扉を開くことだと考えます。英語はコミュニケーションのツールとして、個人個人で目的の設定をすると良いと思います。具体的なゴールを決め、目的意識を持って進めることでモチベーションも上がります。英語は一人では学べないと思うので、仲間やパートナーと切磋琢磨しながら皆で刺激し合って勉強するのも良いと思います。頑張ってください。

関口:貴重なお話を頂き、本当にありがとうございました。